現地調査

地理学科の卒業論文では、調査は付き物。資料だけで論文を書くことは基本的に許されません。

私の卒論テーマは自然分野に属します。友人は「社会人は土日しか動けない。人文だと、土日祝が休みの役所等に聞き取り調査に行けない。」といって自然分野にしたのですが、土日の天候不良が続き、私も友人も最後は平日に仕事を休んで調査に行かざるを得ませんでした。調査は日程に余裕を持って計画的に。

 

調査地の選定

私が選んだ調査地は奈良盆地内に存在する社寺林です。社寺林のスギは本来、人によって “植えられたもの” です。 そんな場所を調査地として採用したのには理由があります。天に向かって真っ直ぐに伸びるスギには「神が宿る」と古くから考えられ、人の手が加えられることなく自然な状態で生育している場合が多いためです。

問題は、多数存在する社寺の中からどこを選び出すか。奈良盆地に方眼を掛けて社寺を選定するか、すり鉢状の盆地内で標高を考慮しながら社寺を選定するかで迷い、後者を選びました。

盆地の中心から東西南北放射線状に線を引き、標高100m毎に存在する社寺をプロットしてみました。しかしそんな都合のいい場所に社寺は存在しません。最初から最後まで「これでよかったのか?」と悩み続けたのが調査地選びでした。

通信教育部生はこれまでのリポート執筆により「書くこと」には慣れていますが、学部生と違ってフィールドワークの経験が圧倒的に少ないです。そのせいか、研究テーマと自分の仮説を証明できそうな場所が分からないのです。選んだ調査ポイントに自信が持てなければ、さらに地点数を増やしたくなり、際限がなくなります。調査期間に2年も要したのは、こうした負のスパイラルに陥ったことと、週末の天候不良が原因です。ピンポイントで、最適なポイントを選び出す能力があれば、もっと早くに卒論を終えられたかもしれません。迷ったときは、とにかく先生に相談するのが一番。一次指導前で指導教員が決まっていない場合は、その研究分野に関係ありそうな先生に相談してみましょう。

 

調査地の事前確認

インターネットが普及したお陰で、Googleストリートビューには随分お世話になりました。現地調査に出掛ける前に、自宅に居ながら社寺にスギが何本程度存在するかを確認できます。逆にスギが全く存在しない社寺は調査地から外すことが出来ました。

 

調査道具

地図
フィールドノート調査記録調査地名、樹木No.、樹高、胸高直径、衰退度、備考などを記録
デジタルカメラスギの写真や周辺環境の撮影。ファインダー付きがお薦め。
折れ尺2本胸高直径の測定に使用
巻尺スギまでの距離を測定(樹高測定)
50mあったほうが無難
巻取りが早くて楽なメジャーがおススメ
クリノメータ樹高測定に使用
2m紅白ポール伸縮用(SKポケットポール)なら持ち運びに便利(ただし高価)
カメラ用三脚ポール立ての代用(ポール立ては高価で重いので)
番号札木の番号付け用(ハードカバーのリングノートに番号を書きました)

※道具は用途に応じたものを用意

巻尺が重いので、安価なレーザー距離計(室内用)を買ったら、ほとんど役に立ちませんでした。屋外用のレーザー距離計は高価ですが、やはり用途に応じた道具が必要だったようです。

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